本会の記事が日本住宅新聞に掲載されました
2017年06月05日
本会の記事が日本住宅新聞に掲載されました。
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住まいの屋根換気通気研究会 特別セミナー
気密は省エネ・耐久性に関わる要素
米の専門家が必要性説く
(一社)住まいの屋根換気通気研究会(理事長=神戸睦史・(株)ハウゼコ社長)は5月19日、特別セミナー「日米比較 これからの木造住宅の耐久性とは」を東京都内で開催した。米E.Iデュポン社リサーチフェローのウェストン・テレサ氏が来日し、アメリカの住宅・建築関連基準を紹介しつつ気密や防湿の重要性について講演した。また、同協会理事の石川廣三・東海大学名誉教授、(有)松尾設計室の松尾和也氏、岩前篤・近畿大学教授の3人による講演や、講師陣によるトークセッションも行われた。
テレサ氏はサステナブルな建築物に必要な要素として、耐久性とエネルギー効率性の2つを提示したうえで、どちらの要素にも関わるのが気密性だと説明。アメリカ各地の気候条件下では、外皮の気密性向上による省エネ効果は最大で42%に達するとのデータを紹介した。アメリカでは州により建築法規や基準が異なるものの、戸建住宅の省エネルギーに関する基準では、2012年以降ほとんどの州で気密測定の実施が義務化されている。
一方、耐久性についてテレサ氏は、湿潤状態を減らし、最大限に乾燥させる「水分のバランス」が重要だと主張。
”Deflection”(雨仕舞い)、”Drainage”(排水)、”Drying”(乾燥)、”Durability”(耐久性)の「4つのD」を紹介しつつ、躯体への直接的な水の浸入を防ぐことが最も重要だと話した。
防湿層は不要な地域も中間地では判断難しい
また、気密性も向上させるためにベーパーバリア(防湿)が用いられることがある。テレサ氏はベーパーバリアは結露を誘発する恐れもあるため、特に中間的な気候区分の地域では「ベーパーバリアの有無を判断するのは難しい」と述べた。アメリカでは実際に、ベーパーバリアの設置を禁止した地域もあるという。
気密性と防湿性は、岩前教授も講演で取り上げた。岩前教授は、「水蒸気以外の空気」を対象に、熱損失の低減などを目的とする気密に対し、防湿は「水蒸気」が対象で、結露を防止するためのものだと定義。結露が躯体等の劣化即座につながるわけではないとしつつも、人の価値観によって劣化が判断される限りは現状が続くと主張。「気密や防湿のガイドライン」の必要性を訴えた。